とある認知症患者の話
食事拒否には食事間隔と日光浴が関係するかもしれないという話を、とある認知症患者を例に紹介します。ここでは、その患者を仮にAさんとします。
Aさんは認知症の症状がかなり進行している状態で、現在は精神科病院の急性期病棟に入院しています。Aさんは怒りやすい人や興奮しやすい人に効果がある漢方を定期的に飲んでいました。副作用もないので安心ですが、苦味の強い漢方なので人によっては拒否反応を示すことがあります。しかし、Aさんはいつも機嫌よくこの漢方を服用します。大体、夕食の30分ほど前に飲みます。
Aさんは通常の会話が困難な状態です。「食事をちゃんととっているか」「よく眠れているか」「排便に不調はないか」などを聞いても、ほとんど会話になりません。血行促進のマッサージをして、しばらく足をブラブラさせるように言ってもすぐにやめてしまいます。
ある日、いつものように漢方を飲んで30分後、夕食が運ばれてきました。その日はおかゆやプリン、豆腐を食べやすくつぶしたものなどがメニューでした。Aさんはおかゆとプリンが好物なので、最初の数口は順調に口へと運んでいたのですが、すぐに食べなくなりました。「もうお腹いっぱいですか」と聞くと、即座に「お腹いっぱい」の合図をします。さすがに少なすぎるので「もう少し食べたほうがいいですよ」とおかゆを口に運んだ瞬間、大声で怒鳴り始めました。以前より軽い食事拒否の傾向はありましたが、ここまで激怒したのは初めてでした。
担当の職員は、なぜAさんは夕食だけをここまで拒否したのか疑問に思い、知り合いの介護士に尋ねました。話を聞いたところによると、夕食だけを拒否する認知症患者は少なくないようです。知人は、「直前に飲んだ漢方薬により満腹感があるのかもしれません。昼食と夕食の間におやつの時間がある場合は、なおさら圧迫感があるのではないでしょうか」とアドバイスをくれました。
また、別の介護施設経営者に話を聞くと、「日光浴が関係しているかもしれません」と言われました。その人いわく、日中に日光浴をする人とそうでない人では夕食時の食欲に差があるそうです。数ヵ月分のデータから判明したとのことなので、信ぴょう性はあります。そして、日光浴によって食欲が増進する傾向にあるのは、以前から外で活動することが多かった人だそうです。確かに、Aさんは以前まで農家として働いており、日中はほとんど外にいました。
そこで、薬を漢方から錠剤に切り替え、日光浴を取り入れるようにしたところ、少しずつではありますが以前よりも夕食時の食事量が増えていったそうです。
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